はたらく
今年、二十歳になる孫娘が、都会で就職し頑張っていると聞いた。
その仕事は、美容師。まだ見習いだろう。
美容師と言えば、女性の髪を切って差し上げるくらいの認識しかなかった私は、孫娘が一体どんな仕事をしているのだろうという興味から、今はやりのTikTokを覗いてみた。
そこには、ショートカットを得意とする美容師の姿があった。
「髪の毛が、天然パーマなのでまとまりにくい。」
「顔が小さく見えるようにしてほしい。」
女性の要望を聞き取るカウンセリング時間をたっぷり取る。
ショートカットにするのが初めてなので不安そうな女性。
そこで彼は、
「大丈夫ですよ。」
「可愛くします。」
なんという自信に溢れたその言葉。
施術を受ける女性は、きっとこの人に任せも大丈夫だろうと安心した違いない。
普通、人前では、自分に対して褒める言葉は使わないものだ。
けれど、鏡に映る自分のヘアースタイルを見て、思わず感嘆の言葉が口をつく。
「可愛い!」
「嬉しい!」
それほど彼の技術は卓越している。
「はたらく」とは、「側楽」
側(はた→そば)の人を楽(らく→たのしく・嬉しく)させるものだと天理教では教えられる。
若いながらも頑張っている彼の仕事は、「はたらく」そのもののような気がする。
世の中に、人をこれほど喜ばせる仕事があることに驚いた。
孫娘が、これほど尊い美容師を目指していることを誇りに思うと同時に、自分自身を振り返ってみて、人を喜ばせることができているのか反省しきりである。
若い人たちに負けないよう、迷惑をかけないよう、人の喜びを我が喜びとできるように、還暦を過ぎた自分に活を入れよう。
担当W